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米国労働省が10月6日に発表した9月の非農業部門雇用者数PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は前月から33万6,000人増と、市場予想の17万人増を大幅に上回った。また、7月の数値が15万7,000人増から23万6,000人増に、8月の数値が18万7,000人増から22万7,000人増にそれぞれ大幅に上方改定された。
就業者数は前月から8万6,000人増加し、失業者数も5,000人増加した結果、失業率は前月と変わらず3.8%だった(添付資料図1、表1参照)。
失業者のうち、一時解雇の失業者は前月より8,000人減の78万1,000人、恒常的失業者は前月より9万7,000人減の144万1,000人だった。
労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から21万5,000人増の2億6,743万人、労働力人口が前月から9万人増の1億6,793万人となった結果、前月と変わらず62.8%だった。
9月の雇用者数の前月差33万6,000人増の内訳をみると、民間部門は26万3,000人増、うち財部門が2万9,000人増で、主な業種としては建設業が1万1,000人増、製造業が1万7,000人増だった。サービス部門は23万4,000人増、主な業種では、娯楽接客業が9万6,000人増、教育・医療サービス業が7万人増、商業・運輸・倉庫業が4万5,000人増、対事業所サービスが2万1,000人増だった。一方で、情報通信業が5,000人減だった。政府部門は7万3,000人増だった(添付資料図2、表2参照)。
平均時給は33.88ドル(前月33.81ドル)で、前月比0.2%増(前月0.2%増)、前年同月比4.2%増(前月4.3%増)と伸びはわずかに低下した。市場予想は前月比0.3%増、前年同月比4.3%増で、いずれも予想を下回った。前年同月比でみて伸びが高かった業種は、製造業(5.2%)、建設業(5.1%)、商業・運輸・倉庫業(4.9%)、金融業(4.9%)などで、伸びが低かった業種は情報通信業(0.9%)だった。
賃金の伸びは緩やかに低下しており、労働需給の緩和自体は進みつつあるものの、今回、新規雇用者数が予想を大幅に上回る伸びを示したことを受け、来週予定されている消費者物価指数の結果次第では、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の利上げを正当化する材料になり得る。
他方で、雇用の強い伸びが基調として今後も続いていくかどうかという点については、幾つか留意が必要だ。サービス業の強い雇用と表裏の関係にある消費については、教育ローン返済の再開や各種金利の高止まりをはじめ、複数のダウンサイドリスクが残っている。過熱している労使交渉が経営者の雇用計画に与える影響などにも留意する必要がある。また、米民間雇用関連サービス会社のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が10月4日に発表した9月の雇用報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、民間雇用者数が2年8カ月ぶりの低い伸びを示すなど、労働省の雇用統計とは相反する指標も存在している。 |
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